1. TACT版「かみレポ」のメリット
TACT版 紙レポート連携システム(通称「かみレポ」)の特徴について紹介します。
かみレポは、名古屋大学で開発し,2017年度から全学運用を開始した、LMSと連携して手書きレポートを返却するWebサービスです。TACT版のかみレポは、名古屋大学で利用してきたNUCT(SakaiベースのLMS)向けのシステムをTACT用に改修するとともに、岐阜大学でも利用可能にしたものです。
本システムを利用することで、レポートや試験の点数、出席票など、紙媒体でのデータを自動でTACTに入力し、Web上で管理することが可能となります。また、レポートに書き足したコメントもそのままPDF形式で学生へ返却されます。
これまで大きな手間となっていた、レポート回収後のソート、成績入力、返却の作業をすべて自動で行うことができます。
かみレポには、大きく2つの特徴があります。
ひとつめは、ソフトウェアのインストールが必要なく、普段お使いのWebブラウザだけでサービスを利用できるということです。学内のネットワークに接続できる環境であれば、どこからでも利用することができます。
ふたつめは、レポートのスキャンに複合機だけでなく安価なスキャナを使用できるということです。これにより居室から気軽にかみレポを利用できます。
また最新のディープラーニング技術を活用し、より高精度かつ高速で処理を行えるようになりました。
2. TACT版かみレポへのアクセス
TACT版かみレポは、名大用と岐大用に分かれています。かみレポのエントランスページ(https://takami.media.nagoya-u.ac.jp)にアクセスすると、名古屋大学の場合は下図左のように、岐阜大学の場合は下図右のような画面が表示されます。各大学の学内ネットワークからのみアクセス可能ですので、適宜、各大学提供のVPNサービスをご利用ください。
各大学のバナーをクリックすると、かみレポのトップページが表示されます。以下では、名大の画面例を使って説明します。
3. レポート用紙の準備・配布
「かみレポ」専用のレポート用紙のダウンロードから配布するまでの流れと、レポート用紙に文字を記入する際の注意点について説明します。
まず、かみレポのトップページの「レポートのテンプレート」から、レポート用紙のテンプレートファイルをダウンロードします。レポートのテンプレートには、A5/B5/A4/B4/A3 の計5つの用紙サイズがあり、PDF/Word/LaTeX の3つの形式が用意されています。
名大と岐大では学籍番号の体系が異なることから、テンプレートファイルは各大学専用となっていますので注意してください。
PDFもしくはWordを編集できるソフトがある場合は、レポート用紙の上の部分にある科目や日付の欄に必要事項を記入し、解答欄に問題文を作成します。
なお、テンプレートには表裏あわせて4箇所にQRコード* が配置されていますが、学籍番号と氏名、採点結果の読み取り位置に関する情報を含んでいるほか、スキャン後のPDFファイルの上下裏表を自動的に直すために利用されますので、QRコードの周囲には余白を確保するよう気をつけてください。
レポート用紙を印刷する際は、QRコードがずれないように倍率を100%に設定し、必ず両面印刷を行うように注意してください。
テンプレートの編集ができない場合は、未編集のまま印刷した用紙に対して必要事項を直接記入してから複合機等で必要枚数分コピーしても構いません。ただし、コピーした用紙を使ってさらに複写を繰り返すと、QRコードが鮮明でなくなり読み取る際のエラーになるおそれがあるため注意が必要です。
実際に学生に配布し、解答してもらう際には、学籍番号と名前を丁寧な字で書いてもらうようにしてください。
採点結果もできるだけ丁寧な字で記入してください。
4. TACTの講義サイトで課題作成
回収したレポートを学生に返却するために、TACT上で「課題」を作成します。
受講者の確認・追加
はじめに、学生が講義の受講者としてTACT上に登録されているかを確認します。学部の講義の場合は、学生は自動的に受講者として登録されますが、大学院の講義や特別講義では手動で登録する必要があります。
TACTにログイン後、レポートを返却する講義サイトを開きます。
左側のツールメニューから「サイト情報」を選択し、「参加者を管理」のタブを開いて受講者が登録されているか確認します。
(この例では、Instructorしか登録されていない状態)
「参加者を追加」のタブを開いて、追加する学生の学籍番号をテキストボックス内に入力します。
その下の「参加者ロール」と「参加者の状態」も適宜選択して「続ける」を押します。
学生のロールをStudentに設定し「続ける」を押します。
サイトが利用可能になったことを知らせるメールを送るかどうかを選択し「続ける」を押します。
追加される参加者情報の確認画面で問題なければ「完了」ボタンを押します。
サイト情報の「参加者を管理」タブで追加された受講者を確認できます。
レポート返却用の課題の作成
続いて、レポートを返却するためにTACT上で「課題」を作成します。
左側のツールメニューから「課題」を選択し、「追加」タブを開きます。
「新しい課題を追加」のページが表示されたら、タイトルと課題の説明、課題の公開期限(公開日時、締切日時、最終受理日時)を入力します。
紙媒体による提出ですので「受講者の提出物」の提出方法を「非電子的」にします。また、「この課題を採点」にチェックを入れ、採点方法を「点数」として最高点を入力します。学生への返却と同時に成績簿に入力する場合は、「成績簿に成績を送信」をチェックします。
採点結果の開示に関するメール通知などその他の項目も設定し終わったら、「保存」を押して作成完了です。
「課題」タブで、課題の一覧を確認することができます。
5. レポート用紙のスキャン
回収したレポートは、お持ちのスキャナでPDFデータに変換することで「かみレポ」へのアップロードが可能となります。
まずスキャナの本体設定が「利用案内(名大版/岐大版)」の推奨設定になっているか確認してください。
裏面に何も記入されていない場合も必ず両面をスキャンしてください。
スキャンをする際にはレポートの上下裏表の向き、学籍番号の順番などを揃える必要はありません。
ただし、レポートの量が多い場合は50枚程度に分けてスキャンを行ってください。
最後に、スキャンが終わったPDFファイルを開いて、適切にスキャンがされているかを確認してください。
6. PDFファイルのアップロード
スキャンしたレポート用紙のPDFファイルをアップロードして、TACTに反映させるまでを説明します。
https://takami.media.nagoya-u.ac.jp にアクセスして各大学のかみレポWebページに移動します。
機構統合認証によるログインが済んでいない場合は、右上のログインボタン をクリックします。
すでにログイン済みの場合は、次のステップ に移ります。
機構統合認証によるログイン
機構アカウントUPNとパスワードを入力してログインします。
レポートのアップロード
ログインが済んだら、「レポートのアップロードを始める」をクリックします。
次のような画面が表示されたらログインセッションが切れていますので、右上のログインボタンから「機構統合認証によるログイン」をやり直してください。
まず、Instructorロールとして参加しているTACTのサイト一覧の中から、レポートを課した講義サイトを選択します。
TAロールでは本システムを利用することはできないため、FAQの「TAでも利用できますか」(名大版/岐大版)をご確認ください。
次に、選択した講義サイト内で作成した課題の一覧から「レポート返却用の課題の作成」で追加した課題を選択します。
「PDFファイルを選択してください」をクリックして、スキャンしたPDFを選択します。
「送信」ボタンを押すとPDFファイルのアップロードと解析が始まります。この際に、QRコードに基づく用紙の表裏判定や上下の自動回転といった処理があわせて行われます。
QRコードの読み取りに失敗するなどして解析に失敗したページがある場合、次のような確認用のウィンドウが表示されます。
白紙のページなどで無視して構わなければ「無視して続行」を、問題がある場合は「やり直す」を押してください。
解析に失敗するケースは、PDFデータ自体に原因がある可能性(印刷時のQRコードの滲み、解答時のQRコードの汚損など)が高いため、スキャン設定を見直すなどしてレポートのスキャンからもう一度やり直してください。
Tips:解析に失敗したページがきわめて少ない場合は、「無視して続行」を押して大多数のレポートを本システムで返却したのち、問題のあったレポートのみ手動で返却するという方法も考えられます。QRコードを汚損しないよう授業中に注意喚起することで、解析の失敗は減少すると思われます。
PDFファイルの解析で問題がなかった場合や「無視して続行」を押した場合には、学籍番号と点数に対するOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)処理が走り、1桁ごとに切り出した数字画像の認識が行われます。
認識結果の確認・修正
OCR処理が完了すると読み取った学籍番号と点数の一覧が表示されます。
このとき、注意が必要なものは黄色、修正を必要とする可能性が高いものは赤色でハイライト表示されます。修正する場合は、対象となる学籍番号や点数の下の「修正する」ボタンをクリックします。
Tips:名前の欄に注目して、画像とテキストの内容が異なるものを探してその学籍番号を修正する方法が効率的です。
学籍番号や点数を修正する時は、プルダウンリストから正しい数字に変更して「保存」を押します。
修正した箇所にはチェックマークがつきます。また、名前の画像の下には、修正後の学籍番号に対応する名前がテキスト表示されますので、本当に正しく修正されたかを確認することが可能です。
正しい学籍番号に修正しても、名前の画像の下に「不明」と表示される場合は、TACTに受講者(Studentロール)として登録されていないことを示しています。ここでは一旦「除外」にチェックを入れて、TACTへの送信対象から外します。
この例のように重複する学籍番号が存在する場合、確認終了ボタンを押すと対象の認識結果が灰色でハイライト表示されます。かみレポシステムでは、アップロード時のPDFファイルに含まれる各学生のレポートは1枚のみという制約があるためです(TACTの各課題で返却可能な点数が1つだけということにも関係します)。そのため、同一の学生については1つだけ残してその他には「除外」にチェックを入れてください。
Tips:受講者登録されていなかった場合や、同一学生のレポートが複数枚存在した場合に、「除外」設定をしてTACTに送信されなかったPDFファイルは、最後に別途ダウンロード可能となっていますので、「受講者の確認・追加」に戻って受講者登録を済ませたあとに、再度アップロードすればOKです。
TACTへの送信
学籍番号と点数の確認が完了したら「確認終了」を押します。
確認ダイアログが表示されるので、問題がなければ「送信」を押して点数とPDFファイルをTACTに送信します。
(「PDFを返却しない」にチェックを入れると、点数のみが各学生に返却されます)
選択した講義・課題に対して、学生ごとに点数とPDFファイルが返却されていきます。なお、課題の設定で「成績簿に成績を送信」にチェックを入れている場合は、自動的に成績簿へも反映されます。
TACTへの送信が完了するとダイアログが表示され、「トップページに戻る」を押すとかみレポの最初の画面に戻ります。なお、学生に返却できなかったPDFがある場合は、「ダウンロード」ボタンを押してダウンロードすることができます。
7. TACTでの確認
本ステップは必須ではありませんが、TACTに送信された点数やPDFファイルを確認したい場合の説明です。
各学生に返却された点数やPDFファイルの確認
TACTで該当の講義サイトに移動して課題ツールを開きます。課題の一覧から、レポートを返却した課題の「採点」をクリックします。
受講者の課題の状況が一覧表示されます。かみレポで返却した点数は、右側の「成績」の欄に表示されます。
(なお、実験的な機能であるため「提出物の採点に Sakai Grader を使用」にはチェックを入れていません)
受講者の名前をクリックすると、個々の学生の採点画面が表示されます。(Sakai Grader を使用した場合については省略します)
かみレポから送信した点数は「成績」欄に、PDFファイルは「成績とともに返却する添付」欄に表示されます。
Tips:QRコードの汚損などにより、かみレポから返却することができなかった場合は、このページの成績欄から点数を直接入力し、「添付ファイルを追加/削除」ボタンを押してPDFファイルを手動で返却します。なお、かみレポには1名につき1枚という制限がありますが、「成績とともに返却する添付」欄には複数ファイルを返却することが可能ですので、レポートが複数枚にわたる場合は、かみレポから枚数分だけアップロードを繰り返せば、すべての用紙を返却することも可能です。ただし、成績欄には最後にアップロードした点数が入りますので工夫が必要です。
返却したすべてのPDFファイルと点数の一括ダウンロード
返却したPDFファイルと点数をまとめてダウンロードしたい場合は、課題の提出状況一覧ページにある「すべてダウンロード」をクリックします。
ダウンロードオプションを選択して(点数をダウンロードしたい場合は「成績ファイル」、PDFファイルをダウンロードしたい場合は「フィードバックの添付ファイル」にチェックを入れます)、「ダウンロード」ボタンを押すと ZIPファイルとしてダウンロード可能です。
かみレポにアップロードしたファイルの確認
「レポートのアップロード」でかみレポにアップロードしたPDFファイルや、解析の失敗・除外によって学生に返却できなかったPDFファイルは、かみレポを利用したInstructor本人が「受講者画面を確認」タブを開くことによって確認・ダウンロード可能です。
「受講者画面を確認」タブを開くと、課題の一覧が表示されますので「受講者として課題を提出」をクリックしてください。
「提出物に対する教員からの添付ファイル」の中に、PDFファイルやZIPファイルが保存されていますので、必要に応じて確認・ダウンロードしてください(削除はできません)。
備考:2019年度までのNUCTでは、各課題の「成績」にInstructorロールも表示されていたため、PDFをアップロードした教員の「成績」をクリックすることで、教員への返却データを確認することができました。2020年度以降のNUCTおよびTACTでは、各課題の成績にStudentロールのみが表示される仕様となったため、このような手順となっています。「受講者」という文言が分かりにくいですが、ご容赦ください。
8. ご利用時の注意事項
OCRの認識対象となる学籍番号や採点結果を手書きで記入するときは、次の点に注意をお願いします。
- はっきりした文字を記入してください。
- 記入欄の枠からはみ出さないように記入してください。
- 取り消し線での訂正はできません。
- 複数ページの用紙の場合、学籍番号、氏名はすべてのページに記入してください。
- 学籍番号は、空欄が無いように記入してください。
- 採点結果の点数欄は必ず右詰めで記入してください。
複数ページの用紙を配布した場合、全てのページを個別に回収してページごとにスキャンしてください。
両面でプリントした用紙は、スキャンの時も「両面」を選択してください。